NEW EVENT
ステートメント
● はじめに
レトロニムは、2022年に劇団速度から名前をあらため、新たに動き出したコレクティブです。
メンバーは変わらず、瀬戸沙門・武内もも・野村眞人の3人です。
レトロニムになる前、劇団速度のころは、人・もの・出来事についての捉え方の違いや、感覚のズレ、
距離感などを出発点としながら、主に上演作品やパフォーマンス作品の発表を劇場内外で行っていました。
そこでの制作のプロセスは、それぞれが異なる分野での活動をしてきた中で培われた専門性を集め、
一つの作品へと結実させるというものでした。
それは同時に、自らのその専門性にさらに自覚的になること、そして自分が他者からどのように影響を受け、
どんな考えをもっているのかを知るプロセスでもありました。
● 集まることで、その人自身が見えてくる
そうした中で、徐々に重要になっていったのは、専門性を「集める」こと以上に、他者と「集まる」ことで
初めて見えてくる「わたし」について知ることでした。
他者への越境と自己への再帰の実践が、それぞれのメンバーのうちに独自の表現を芽吹かせる土壌となり、
それとともに個人で作品を制作することに繋がっていきました。その一方で、それでもなおグループでいる
とはどういうことかを考えるきっかけにもなりました。
そういうような経緯で、コレクティブというあり方を、集めることから集まることへと名付け直すように、
劇団速度はレトロニムになりました。
● プールのサイド
今回、レトロニムはグループ展を開きます。
出展者はメンバーの3人です。それぞれの関心に寄せた作品を制作しています。一つの会場に、それぞれの
作品を並べて見ます。そこに集まるものは、それぞれの専門に裏打ちされているかもしれないし、全く別の
ものかもしれません。そこにメンバーそれぞれと、グループとしての現在地をもとめ、そこからまた出発したいです。
集まることが制作の手段ではなく、集まることそのものが表現として立ち上がること、そしてその中では、
水で満たされたプールに人が入るとその分だけ溢れ、プールサイドに立つ人の足下を濡らすように、不意に、
しかし確かに関係が生まれるはずだと思います。
そしてそれは、そこに訪れる誰かをも含んでいるはずです。
そんなプールのサイドでお待ちしています。
レトロニム
瀬戸沙門 武内もも 野村眞人
イベント情報
レトロニム 01
(ひとり入ったらその分溢れる)プールのサイド
■日時
2022年7月15日(金) ~ 7月31日(日)
開館時間:12:00 ~ 19:00
※16日(土)、23日(土)、30日(土)の毎週土曜日はワークショップ開催のため、14:00に開館します
※19日(火)、20日(水)、26日(火)、27日(水)は休廊です
■会場
わいわいぱ〜く
京都府京都市下京区和気町4(2階)
■料金
入場料・ワークショップ 一律 500円(小学生以下無料)
※当日会場にて精算、当日中の出入り自由
■出展者について
レトロニム RETRONYM
俳優の瀬戸沙門、陶芸を素材として扱う武内もも、演出家の野村眞人からなる京都のアート・コレクティブ。「人とその周辺」にあるコンテンポラリーな物事や出来事をマテリアルに、それぞれの視点を通して生まれる面白がり方を、遊び心ある方法やオブジェクトによって共有することを目指す。
瀬戸 沙門 Seto Samon
1994年生まれ。俳優。2016年京都造形芸術大学(現:京都芸術大学)芸術学部舞台芸術学科卒業。「そこに居ること」と「自身の実感」をベースに、自身の肉体を通して収集した他者との経験やその経験そのものを素材として、上演作品への出演やパフォーマンス作品の制作・発表などを行なっている。 出演に、維新派『アマハラ』2016 /山下残振付作品『無門館の水は二度流せ詰まらぬ』2017 /off-nibroll『春夏秋冬』2018 /劇団速度「冒した者2019』2019 /劇団速度『わたしが観客であるとき』2020 /BRDG『light of the city』2021など。
作品制作に、『mom bless me』2019/『コンベックスの男』2020 など。
▶︎今回の制作について
コロナ禍に始めたごみ収集とフードデリバリーという新たな仕事での経験から、「循環」や「内臓」というキーワードをもとに、自身を媒介に都市と身体を重ね合わせるインタラクティブなパフォーマンス作品を制作する。
「コンベックスの男」計測風景(城崎 , 2021)
武内 もも Takeuchi Momo
1997年生まれ、2021年京都精華大学芸術学部陶芸コース卒業。
陶芸を拠点とし、「人とその周辺」にまつわるを暮らしの反復や現象をテーマに、モノ/ 空間/ 時間を制作している。陶芸の制作過程や、素材自体を用いて、立体作品のみならず、ワークショップ・パフォーマンス・舞台美術へと展開していく点が特徴的。2016 年より劇団速度(2022 年度からレトロニム)に所属。
主な発表に、個展「眼を開けたまま眠る練習」(2022,Art spot korin,京都)、個展「市民の記憶術」(2021,awaiyabooks,大阪)、グループ展「セラミックマウンテン」(2022,kumagusuku,京都)、「OBJECT」 (2019,京都岡崎 蔦屋書店,京都)、舞台美術『「冒した者」2019』(2019,THEATRE E9 KYOTO,京都・こまばアゴラ劇場、東京)、ワークショップ「言葉を触る/土で話す」(2019,京都芸術センターほか)がある。
公益財団法人現代美術文化振興財団陶芸家助成金5期生。
「言葉を触る / 土で話す」(城崎 , 2021)
©︎ igaki photo studio
野村 眞人 Nomura Masato
1991年生まれ。演出家。京都を拠点に、ひとの精神のありようや経験をモチーフとする上演作品を劇場内外で制作・発表している。人・場所・環境の現実的な関係に演劇を引用し、アクチュアルなフィクションに再構築する。主な作品に、『景観と風景、その光景(ランドスケープとしての字幕)』(2020)、『ルーム・ダビング』(2020,SCOOL,東京)、『わたしが観客であるとき』(2020,京都芸術センター,京都)など。近年、精神医療や民俗学への演劇的関心を持ち、精神科訪問看護師へのインタビューや青森県津軽地方での墓に関するリサーチを行なっている。俳優としても活動し、国内外で出演を行なっている。利賀演劇人コンクール2018優秀演出家賞・観客賞受賞。
自身の初めての墓参りで経験した「近しい間柄だからこその対話のすれ違い」を下地にした映像と上演の複合的な作品を制作する。誰かにとって思いの結びつきの強い場所が、私にとってもそうであるとは限らない、しかしそこで生まれた対話のズレは、とても豊かなフィクションを生み出した。この経験を「分身巡礼」という作品に昇華させる。
「分身巡礼」(京都 , 2022)
撮影:滝 梓
■ワークショップ(WS)
会期中、毎週土曜日にメンバーによるWSを行います。
WSには定員があるため、参加をご希望の方は下記予約フォームよりご予約をお願いいたします。
また、各回WS後には展示をご覧いただけます。
※WSには記録撮影が入ります。あらかじめご了承ください。
WS
○ 7/16 (土) 11:00 ~ 13:00 瀬戸沙門 「からだからまちをとりだす 入門編」
○ 7/23 (土) 11:00 ~ 13:00 武内もも 「言葉を触る/土で話す」
○ 7/30 (土) 11:00 ~ 13:00 野村眞人 「探検と投票 in the city」
▼WSの詳細
◎瀬戸沙門 「からだからまちをとりだす 入門編」
定員:16名
内容
知っているようであまり気にしたことのない自分の体の色んな部位のサイズ感と、郵便ポストやマンホール、建物と建物の隙間など、普段は気になっても通り過ぎる町にある色んな物を、それぞれメジャーを使って改めて計測し、その長さを並べて眺めることで、新しい視点で町を再発見するとともに、町に普段とは違った身近さを感じられるようなフィールドワークを行います。
*雨の場合はわいわいぱ~く内のみで行います。
◎武内もも 「言葉を触る/土で話す」
定員:8組(16名)
内容
大きな粘土のかたまりを触ることで、言葉に別のかたちを与え、かたちに別の言葉を与える体験型ワークショップです。どなたでも参加できます!
*粘土に触れるため、汚れてもいい服装でお越しください。
◎野村眞人 「探検と投票 in the city」
定員:20名
内容
セリフは喋るだけのものじゃない!? — 参加者がプレーヤーとなってセリフを装備し、パーティーを組んで街を探検しながら、どこかにある投票所を目指す、戯曲を使ったRPGみたいなワークショップです。最後には、投票結果によって変わるマルチ・エンディング・パフォーマンスがあります。
*使用予定テキスト|『餌食としての都市』(作:ルネ・ポレシュ)
*雨天決行
■関連イベントについて
○ オープニングイベント 7/15 12:00 ~ 19:00
※詳細は後日発表
■アクセス
わいわいぱ〜く
京都府京都市下京区和気町4(2階)
京都市バス各系統 七条大宮・京都水族館前 徒歩2分
JR 梅小路京都西駅 徒歩5分
MAP
■クレジット
協力 わいわいぱ〜く
企画・製作 レトロニム
主催 劇団速度
■お問い合わせ